不幸について考えてみる13

不幸をつくり出すメカニズム(仕組み)について考えてみる

 私たちが生きているこの世界に、生き続けることが困難になるほどの苦しみを与える何か!が存在しています。

『そのメカニズム』について考えてみたいと思います。

 

苦しみの本質

ユーミンの歌の歌詞に「貴方を苦しめるすべてのものから~守ってあげたい~」というフレーズがあります。

では、、、

私たちを苦しめているものとは何でしょうか?

一つ一つ上げたらきりがないと言われるかも知れません。

しかし、間違いなく言えることは、その苦しい状態が『ありのままの自分でいることが出来ない、あるいは、許されていない状態』であるということです。

 

今年になってMさん、Aさん、Tさんといった有名な俳優さんの自殺が立て続けて報道されました。

容姿端麗で人気もある彼らがどうして、、、

と思われた人も多かったに違いありません。

 

自殺の真相までは、知りようがありませんが、

彼らが、傍から見ても分からない何らかの苦しみを抱えていたことには違いありません。

そして、その苦しみが『ありのままの自分でいることが出来ない、あるいは、許されていない状態』追い込まれてしまったことによるのではないかと推測できるのです。

岡本太郎氏の書籍「自分の中に毒をもて」の中に、このような記述があります。 

「先年、日航機の事件で死んだ坂本九ちゃん。

彼が『上を向いて歩こう』の大ヒットで、人気絶頂の頃のことだ。

旅先のホテルで偶然一緒になり、飲んだ。

取り巻きもいたし、ファンが押しかけてきてサインをねだったり、大変な騒ぎだ。

僕がふっと「人気者は大変だなあ」と本当に素直に同情して言ったんだ。

すると彼は、突然今までの調子のいい笑い顔からギュッと、すごく真面目な表情になりウォッと泣き出してしまった。

酔っていたわけじゃない。

僕は、そうか彼には分かっているんだなと思った。

センシブルな人間なら、何かのはずみで押し寄せてきた人気が、自分自身とは関わりない虚構の世界に渦巻いているということに気づかないはずはない。

虚しい。

だが、彼自身どうにもならないメカニズムで、それは膨れ上がり彼自身を転がしていく、、、」

坂本九さんが『ありのままの自分でいることが出来ない、どうにもならないメカニズム』に苦しんでいたという話しです。

 

人気というと、何か良いもののように考えている人が多いかも知れません。

でも実は、これは非常に危険なものなのです。

人気という想念の渦に巻き込まれてしまうと、自分が自分をコントロールできなくなってしまいます。

特にセンシティブな人間はそういうものに影響を受けやすいのです。

 

おそらく、、、

Mさん、Aさん、Kさんもそういう感受性の強い人だったのでしょう。

有名になればなるほど外部からの視線「俳優なんだから、こうあるべき」というような人々の目に見えない要求や圧力は強くなります。

そういう状態が『ありのままの自分でいることが出来ない、あるいは、許されていない状態』を作り出していた可能性があります。

 

不幸をつくり出しているメカニズム

芸能界に限らず、どこの世界にもこの種の『本当の自分を喪失させてしまうメカニズム』があるということです。

私たちの抱く勝手な思い。

そのたわいもない小さな思いが合わさって大きな想念の渦をなすときに、人の好む好まざるとに関係なく、人の人生を狂わせるだけの力を持ってしまうということです。

そして、それに拍車をかけているの人々の『無自覚さ』です。

ほとんどの人が、自分の思いに無自覚、無責任で野放し状態なのです。

ましてや自分の思いが、他人や世の中におこる不幸に影響を与えているなんて考えてもいません。 

しかし、よくよく考えてみると、芸能人が大衆の人気という想念で自殺するのも、

子供がクラスメイトに嫌われて自殺するのも、

私たちの抱く勝手な思いと無関係ではないかも知れない、、、

もしかしたら、私の思いが誰かへの圧力として働いている可能性があるということです。

 

これが、世の中に潜んでいる不幸のメカニズムです。 

本心では誰も望んでいないのに、誰かを『ありのままの自分でいることが出来ない状態』に追い込んでしまうのです。

私たちは、自分の『無自覚な思い』について、もう一度よく考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 自分が不幸にならないためにも、

そして、他人が不幸にならないためにもです。