不幸のからくりⅩ
子供が成長し、やがて大人になり自立して行くのは自然の流れです。
子供の時は稚気を離れることができず、目の前にあるおもちゃや食べ物に執着し、兄弟喧嘩をしたりするものですが、大人になるとそういう目先の些細なことに囚われなくなります。
それは、、、
縦軸と横軸で世の中全体を捉えることができるようになるからです。
縦軸とは時間軸であり、
横軸とは空間軸のことです。
自分の中に縦軸があるというのは、人知を超えた存在(神)を知り、そこから繋がる多くの先祖たちの足跡(歴史)を知り、その関係の中に今の自分(命)があると言う認識です。
そして、、、
その認識は、当然、より良い未来をつくるという意識に繋がります。
横軸とは、人間関係です。
この地球上に、自分だけがいるのではないという認識です。
自分以外にも多数の人間が存在している、、、。
では、その関係をうまく保つにはどうするか、、、?
という人間共存の問題です。
これを、、、
松下幸之助先生の日本の伝統的精神に当てはめて表現すると、、、
「主座を保つ」は縦軸であり、
「和の精神」は横軸です。
つまり、 日本人は、
神々と先祖たち、あるいは子孫の前に恥ずかしくない自立心=主座を立てることと、
人々が争わずに平和的に共存共栄してゆくこと、、、。
を縦横の軸に据えてきたのです。
そして、、、
そこに欠かすことができない、もう一つのキーワードが「衆知を集める」です。
これは、独断、独善を避けよということです。
人は、自立心を独断、独善と勘違いしやすいからです。
自立心とは、無限の縦軸、無限の横軸の中心に自分を立たせる心ですから、自分は、無知で無力でちっぽけであるという認識があってこそ成り立ちます。
でも、、、
人は、それを失いやすい、、、党派心があるからです。
自立心と党派心は似て非なるものです。
自立心は平和を成しますが、党派心は争いを起こします。
軸がずれているからです。
だから「広い見識を持つ者」に意見を聞いて独断、独善に陥ることがないようにせよと言っているのです。
日本人は、縦横の軸がぶれないように細心の注意をしてきたのです。
こうしてみると、、、
いかに日本の伝統的精神が素晴らしいかが分かります。
おそらく、、、
世界で唯一「自立した大人の精神」を体現してきた国なのではないか、、、
と思われます。
それで、、、
日本は、平和で幸福な自立した国であり得たのです 。
それは、、、
自立した正しい大人が、多数存在し続けてきた、、、からなのです。