グローバルスタンダードの真実4
グローバルスタンダードの真実4
西洋は力の原理、日本は和の精神
「真実よりも金」という西洋的ダブルスタンダードが定着していった背景には、支配するかされるかの力の原理が根底にあると考えられます。
相手を支配するのに「真実よりも金」が有効だからです。
日本はどちらかというと「金よりも真実」でした。
それは不和を嫌う和の精神が根底にあるためと考えられます。
全体の和をはかるためには「金よりも真実」が有効だからです。
独善防止のための合議制
それで、、、
日本では古くから不和の原因についての深い考察と、
またその対策が講じられてきました。
それは、日本の神話を見ても分かります。
古事記の神様も合議制なのです。
神様でさえ大事なことは独断せずに話し合いで決めているのです。
これは、日本人が権力者の独断が独善に陥りやすいことを
大昔(神代の時)から理解していたということに他なりません。
権力者が独断するようになると、
どうしても「真実よりも金」に傾くようになります。
それは、人間の中にたむら(党派心)があるからです。
そうなると争いが起こり、民を苦しめることになります。
それで、日本では太古の昔から独善防止のための合議制が行われてきたのです。
日本の天皇は政治的権力を持たずに、先ず国の平和と国民の安寧を祈る存在であり続けました。
これは、
中国の皇帝、西洋のエンペラーや国王が絶対権力を行使してきたのとは正反対なのです。
これは権力者(役人)の独善対策のために書かれています。
権力の中心にある者が、権力者(自分たち)の独善を防ぐための憲法を定めたのです。
このようなことは西洋では聞いたことがありません。
日本人は、権力者自身が自分の中に「真実よりも金」に傾きやすいたむら(党派心)があることを自覚し警戒し、それを防ぐために憲法という条文で発布した世界に稀な国柄なのです。
17条憲法要旨
第1条に先ず『和をもって尊しとなす』としています。
これが大前提です。
そして、和に相反する概念として『たむら(党派心)』を指摘します。
『たむら(党派心)』があるから諍いが起こる。
だから、上も下も道理を立ててよく話し合うことが重要だということです。
第2条に三宝を敬うこと、第3条に詔に従うことを説きます。
これは、人間の心と社会秩序の中心にあるべき軸のことです。
軸がなくして和はありえません。
第4条から第16条までは役人の心得についてです。
要するにこれは、『不正をするな、清廉潔白であれ』ということです。
そのことを、具体的に様々な観点から戒めています。
そして第17条の締めくくりは『独断で決めるな』です。
権力の座にある者はとかく独善に陥りやすい、だから大事なことは必ず衆知にたずねよと言っています。
17条憲法には『和の精神の神髄』が簡潔かつ合理的に示されています。
そして、恐らくこの精神は今でも私たちの中に深く根付いています。
これは、西洋は価値観=力の原理とは全く異質なものです。
戦後日本では、日本の価値観は古臭いものとされ、西洋的価値観が合理的で素晴らしいものとして刷り込まれてきました。
しかし、よく見てみると日本の伝統的思想の方が、西洋的思想よりもはるかに合理的で平和的、民主的で誤魔化しが少ないことが分かります。
力の原理とは『たむら(党派心)』を助長する原理であって、真実、平和、民主の対立概念でしかないからです。